小説講座2

ではまず、行動描写から考えていきましょう。
行動描写は読んで字の如く行動を描写します。
きっと誰でもまずはここから書き出すと思います。

行動描写でつまづくポイントは単調さ、つまらなさなのではないでしょうか。
同じ表現が続いて何となくつまらない感じがする。淡々とした表現になってしまう。そんな感じ。

例:
僕の方に向かって焼き芋屋の車が近付いてきた。
僕は財布を取り出し車に近付いた。
僕は運転手に声をかけ、焼き芋を一つ買った。
買ったばかりの焼き芋をかじりながら家へ帰った。

やはり単調な感じがしますね。
ここでまず気を付けたいなと思うのは文末と主語。
~~した。(過去形)と~~する。(現在形)を適当に混ぜて使うこと、要らない主語は省略すること。
次に、台詞だけで何をしたか伝わるところは台詞で済ませちゃおう、ということです。

添削後:
僕の方に向かって焼き芋屋の車が近付いてきた。
財布を取り出し近付く。
「お兄さん、ひとつちょうだい」
「はい、どうも」
ぱかりと割って、真っ白な湯気の沸き立つ黄金色のそれに、がぶりとかじりつく。
「うんめぇ~!」
僕はそのまま家へと向かった。

こんな感じかな。
動作の代わりにお芋の描写を入れてみることで更に雰囲気変わったと思います。
お芋が美味しかった情報も増えて良い感じです。
動作が多いなぁと思ったら物や景色、人物の描写に変えることでも単調さが減ると思います。

登場人物が二人いると「AはBに〇〇した」という文が増えてきてしまうよ!という場合も同じです。

・台詞で動作を表現する

AはBを挑発した。BはAを睨んだ。

「村を捨てて逃げた臆病者が俺を倒すつもりか?」
「……」
「何だその目は。本当のことだろ?」

二人の険悪さも台詞になると生々しくなります。

・相手のいない動作や情景・心情描写に変える

Aは遅刻してきたBに呆れて溜息をついた。

――こいつ、また遅刻してきやがった。
Aは舌打ちをした。沈黙が二人の間に漂う。

情景描写は現在を描写するので、文末がどうしても過去形になっちゃうな~というときにもおすすめ。

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